恵みの雨か、悩ましい雨か。台風上陸の北海道・十勝の畑から

恵みの雨か、悩ましい雨か。台風上陸の北海道・十勝の畑から

いつもEating Hokkaidoをご愛顧いただき、ありがとうございます。

北海道の短い夏を惜しむかのように、太陽が輝く季節。しかし、今年の十勝は少し様子が違います。本来であればめったに北上しないはずの台風が北海道に上陸し、7月14日あたりからパッとしない、ぐずついた天気が続いています。

この時期の雨は、農家さんにとって悲喜こもごも。畑によって、その表情は大きく異なります。

収穫目前の小麦畑では…

十勝平野に広がる黄金色の絨毯、小麦畑。いよいよ収穫が本格化するこの大切な時期に、今回の長雨は農家さんたちの頭を悩ませています。

収穫期の小麦にとって、最も避けたいのが雨です。雨に濡れると「穂発芽(ほはつが)」のリスクが高まってしまうからです。

穂発芽とは、刈り取り前の小麦の穂についたままの状態で、実が発芽してしまう現象のこと。こうなると小麦粉にした際の品質が大きく低下してしまい、時間と手間をかけて育ててきた努力が水の泡になりかねません。

この時期に農家さんたちが望むのは、カラッとした気持ちの良い晴天。一日も早くお日様が顔を出し、無事に収穫作業を進められることを、誰もが固唾をのんで見守っています。

豆や芋の畑では…

一方で、この雨を「待ってました!」と喜んでいる作物たちもいます。小豆や大豆、そしてジャガイモやてんさい(ビート)といった畑の作物たちです。

今年の6月、十勝地方は驚くほど降水量が少なく、畑はカラカラの状態が続いていました。土が乾き、作物の生育にも影響が出かねないと心配されていた矢先の、今回の雨。

まさに「恵みの雨」となり、乾ききっていた畑をたっぷりと潤してくれました。豆は莢(さや)を膨らませ、芋は土の中でぐんぐんと大きくなるための、大切な水分補給となったことでしょう。

同じ空から降る雨が、ある作物にとっては悩みの種となり、ある作物にとっては命をつなぐ恵みとなる。自然と共に生きる農業の厳しさ、そして奥深さを改めて感じさせられます。

一日も早く天候が回復し、小麦の収穫が無事に進むこと。そして、恵みの雨を受けた豆や芋たちが、秋に豊かな実りをもたらしてくれること。

スタッフ一同、北海道のすべての作物が、最高の状態で皆様の食卓へ届けられる日を心から願っています。

 

ブログに戻る