「キタノカオリ」にほれ込んで10年。東京・新高円寺の「えび寿ベーグル」が町の笑顔を紡ぐ繁盛店になったワケ

「キタノカオリ」にほれ込んで10年。東京・新高円寺の「えび寿ベーグル」が町の笑顔を紡ぐ繁盛店になったワケ

ベーグルの焼き上がりを知らせる甘く香ばしいにおいがお店からあふれ出すと、外には開店を待つお客様の姿が。

「お待たせしました、いらっしゃいませ!」という呼び声とともにドアが開くと、お客様がいっせいに店内へ。目当ては、口に入れた瞬間に小麦の甘みが広がる焼きたてのベーグルです。

 ベーグル専門店「えび寿ベーグル」は、東京杉並区・新高円寺にあります。

 店長の釜井恵美子さんが、2016年に店を立ち上げた理由は「自分が最高においしいと思うベーグルをたくさんの人に届けたい」という想いから

 えび寿ベーグルのすべての商品に使用されているのが、北海道産の小麦であり、イーティング北海道の「キタノカオリ」。豊かな香り、もっちりとした食感、小麦本来の甘み。釜井さんはキタノカオリの魅力にほれ込み、開業以来、一貫して使い続けてきたといいます。

 今回は、釜井さんに、「キタノカオリ」との運命的な出会い、素材へのこだわり、そして多くの人を虜にするベーグル作りの原点についてお話を伺いました。

「キタノカオリが手に入らない」。
“廃業”の二文字が頭をよぎる日々

「うちのベーグルは、キタノカオリ100%の小麦粉がないとダメなんです。そうじゃないと、理想の香りと食感が出ない。何年か前にキタノカオリが急に手に入りにくくなった時期があったんですが、その時は“廃業”の二文字が頭をよぎりました

 創業10年を迎えるえび寿ベーグルの最大の危機は、それまでの仕入れ先からキタノカオリが買えなくなったこと。キタノカオリは2018年、2019年に大きく収穫量が減少し、存続自体が危ぶまれた時期がありました。釜井さんが仕入れ先から受けた説明は、「農家がキタノカオリを作れなくなったから」だったといいます。

数字で見る「奇跡の小麦」キタノカオリの商品画像
数字で見る「奇跡の小麦」キタノカオリ

多くのパン職人や消費者に厚く支持され、根強い人気を誇るキタノカオリ。その復活のストーリーを数字で追います!

「いろいろ調べて、キタノカオリがブレンドされた粉を使ってみたり、キタノカオリの親になった品種の小麦粉を試したりしたんですけど、キタノカオリを超えるものはなくて。やっと見つけたネットショップも、しばらくしたら販売が終わってしまったんですよね。もう八方塞がりでした。 でも、自分がおいしいと思うものでなければ売りたくない。毎日必死で探してたどり着いたのが、ヤマチュウさんのEC(現イーティング北海道)でした」

 以来、長らくイーティング北海道でキタノカオリをご購入くださっている釜井さん。えび寿ベーグルを創業する前は、ベーカリーめぐりが大好きな会社員だったそうです。

ベーグル、キタノカオリとの出会い
会社員から開業に踏み切ったワケ

 釜井さんの人生がベーグル店開業に向けて転換し始めたのは2000年頃。当時、東京を中心に店舗を展開していたベーグル専門店のベーグルを食べたことが始まりでした。

初めて食べた時の感想は、『何だ、こりゃ⁉︎』(笑)。大のパン好きだったのに、ベーグルの存在を知らなかったんですよ。独特のぎゅっとした食感、かめばかむほど口の中に広がるうまみ、いろんな素材とのマッチングが楽しめる懐の広さに夢中になりました。そこからベーグルの食べ歩きを始めて、講習会にも通って、自分でも毎日のように作るようになって。素材の違いで味が全然違うから、いろんな粉や酵母を試すのが最高に楽しかったんですよね」


いろいろ試した結果、キタノカオリで作ったベーグルがいちばんおいしくできた。 『いつかお店をやるなら、絶対にキタノカオリのベーグルを作ろう』と心に決めたんです。もっとも当時は保険の営業の仕事をしていたので、開業はあくまでも『夢』だったんですけどね」

 会社員を続けていた釜井さんを開業へと駆り立てたのは、お母様が病に倒れ、働き方を見つめ直したことでした。

「母は以前から、『恵美子(釜井さん)と惣菜屋さんをやりたい』とよく話していました。でも、病気で叶わなくなってしまった。
 母の残された時間と向き合うなかで、『一度きりの人生、後悔しないようやりたいことをやらなくては』と思ったんです」


「母の近くにいられるよう、故郷の静岡県三島市で貸店舗を探したんだけど、良い場所が見つからなくて。地元の友達にも『ベーグルなんて聞いたことがない。知らないものは安くても買わないかも』と言われてしまって、ここでお店をやるのは難しいのかなあ……と思案していた間に、母が息を引き取ったんです」

 深い悲しみの中、開業への想いをさらに強くした釜井さん。心機一転、東京都内で貸店舗を探し始め、現在の場所にえび寿ベーグルをオープンさせます。

店名の『えび寿』は、母がお店の名前にしようと決めていた言葉。私と妹、母の名前の最初の一文字をつなぎ合わせた響きなんです。この場所で、母の想いと一緒にスタートを切ることにしました」

またたく間に愛される繁盛店に。
北の大地へつなぐ感謝の気持ち

 釜井さんの探究の集大成であるキタノカオリを使ったベーグルは、またたく間に地域の人たちを虜にします。

ショーケースに並ぶプレーン、ごまチーズ、全粒粉、ブルーベリー、チョコレートといった多彩なベーグルを目当てに、毎日多くのお客様が足を運ぶ繁盛店に。

「一番人気はどれですか?」という質問に、「う〜ん、全部かな。まんべんなく!」とほほえむ釜井さん。

 好みのベーグル+具材で、ベーグルサンドを作ってもらうことも可能。具材のハムやフィリングも素材にこだわり、すべて手作りされています。

ベビーカーを押す子育て世代からお年寄りまで、幅広い年齢層の人がお店の前を行き交う姿を見て、「まちの休憩所」のように使ってもらえれば、とドリンクをそろえ、イートインスペースも完備。たまたま居合わせたお客様同士で会話がはずむこともあるそうです。

 人のご縁をつなぎたいと、コロナ以前はベーグルを作りながら男女の出会いをお手伝いする「恋活ベーグル教室」も開催されていたそう。

創業してから、キタノカオリの入手が難しくなったこと、オーブンの故障、ケガで2カ月半お店を閉めるなど、ピンチにも見舞われてきたえび寿ベーグル。釜井さんは、お客様の支えがありながらお店を継続してきたと話します。

「脚を骨折して入院した時、近所に住むお客様が休業の貼り紙を貼ってくれたことがありました。そうしたら、休業を知らずに来てくれたお客様が、貼り紙に『お大事に』『再開待ってます』というメッセージを書いてくれたんです。手書きのメッセージがどんどん増えて、付箋で貼ってくれる方も出てきて、それをまた別のお客様が写真を撮って送ってくれて……、本当にたくさんのお客様に支えられているんだな、と思いました」

 ヤマチュウ社員がプライベートでお店を訪問した時のことも覚えてくださっていました。

「Facebookでいつも『いいね』をしてくれていた当時のECご担当の方が遊びに来てくれたんです。周年記念にお花を贈ってくださったこともありました。うれしかったですね。
 私、近々休みをとってバイクで北海道を旅しようかと思ってるんです。キタノカオリの産地を見てみたいし、生産者の皆さんにもお礼を言いたいんですよ。『キタノカオリを作り続けてくれて、本当にありがとうございます!』って

 
キタノカオリにほれ込み、「最高においしいベーグルを届けたい」と願う釜井さん。その一途な想いは、今日もたくさんの笑顔と温かいご縁を結んでいます。

 イーティング北海道は、北の大地が育む豊かな恵みと生産者さん、そして実需者の方々への感謝を胸に、全国の町へキタノカオリを届け続けます。

🥯編集後記🥯 

 取材班がお邪魔した1時間ほどの間にも、ひっきりなしにお客様が訪れ、店内は常に賑わっていました。なかには「めっちゃうまいんですよ、ここのベーグル。毎週来てます」「もうお店ごと買いたい!」という方も。取材班もベーグルをいただきましたが、しっかりとした食感で満足感がありながら、ついつい手が伸びる軽さもあり、あっという間に完食。キタノカオリの弾力と香りの良さが十二分に味わえる逸品でした。

 ブログ担当はほぼ全種類をテイクアウトして翌朝いただきましたが、家族全員「こりゃ確かに全部人気商品だ!」と納得(笑)。特にチョコレートベーグルには芯から癒されました。釜井さん、最高においしいベーグルをありがとうございます!


🥯えび寿ベーグル 店舗情報🥯

営業時間:11:00〜20:00
定休日:水曜日・木曜日
住所:東京都杉並区梅里2-6-3
アクセス:東京メトロ新高円寺駅1番出口より、五日市街道を荻窪方面に徒歩5分
お店のウインドウに飾られた星のオブジェが目印です。
公式HPInstagramFacebook

▼えび寿ベーグル釜井さんが愛用しているキタノカオリはこちらから

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