王様のかくれ家店長の「ぜにこ」こと錢谷聖子さん

北海道産小麦粉「キタノカオリ」100%食パンへの挑戦。研究者が作りあげた至高の一本

食べた人を虜にする、北海道産小麦粉キタノカオリ100%の食パン

「まず、粉の色がとにかく黄色い。それから、ほかの小麦粉に比べてものすごく水分を吸収するんですよね。その特徴と、口に入れた時の強い甘味に驚きました。『小麦ってこんなに甘いんだ』と感じてから、いつか『キタノカオリ』のためのパンを焼いてみたいと思ったんです」

北海道産小麦粉「キタノカオリ」の魅力について楽しそうに話してくださったのは、「ごろねのくにの王様・ぜにこ」こと錢谷聖子(ぜにたに・さとこ)さん。東京都江東区亀戸にあるベーカリーごろねのくにのパン工房 王様のかくれ家の店長です。

卵、牛乳、バターは一切使わず、シルクのような舌ざわりとミルクのような口どけを実現。袋を開けた瞬間、キタノカオリの芳醇な香りがふわりと漂います。北海道・十勝の地域新聞に「十勝の素材で作られたパン」として取り上げられたこともあり、1日30本売れることもある人気商品です。

キタノカオリの風味や甘味を最大限に生かすため、素材や製法にこだわりぬいたと話す、ぜにこさん。キタノカオリとの出会いから至高のシルク食パンの開発話、お店にかける想いまでお話をお聞きしました。

「子どもに本当においしいパンを食べさせたい」。製パン学校で出会ったキタノカオリに一目ぼれ

ぜにこさんがキタノカオリと出会ったのは、都内の製パン学校でした。

「私の地元の京都には、『今日はどこのパン屋にする?』と話すくらい、おいしい個人店のパン屋さんがたくさんあります。東京はチェーン店はあるものの、個人店の数がそこまで多くなく、値段と味が釣り合っていないような気がして。ホームベーカリーで焼いたパンにもいまいち満足できませんでした。子どもたちに本当においしいパンを食べさせてあげたいという想いで、週末に製パンの専門学校へ通い始めたんです。そこで初めてキタノカオリを知り、素材としてのおもしろさに夢中になりました」

当時、ぜにこさんは病院に勤務する多忙な日々を送っていました。大学・大学院での抗がん剤研究を皮切りに、医療系スタートアップ勤務、出産を経て、東京大学の公衆衛生大学院で疫学とヘルスコミュニケーションを研究。研究機関や製薬会社に身を置くなど、一貫して研究の最前線を歩んでいました。

育児とキャリアの両立に悩み、一度は専業主婦になったものの、家族の勧めで参加した起業セミナーをきっかけに一般社団法人「うちナース」を立ち上げることに。LINEで看護師や保育士に育児相談ができるサービスの店舗版として、有資格者が子どもを見守るカフェ「ごろねのくに」の運営をスタートさせました。

「カフェに来たパパママが少しでもリラックスできるように」という想いで、子どもがひとりで食べられて、保護者も安心して食べさせられるものを提供しようと、自身で焼いたパンを提供し始めます。それが、「王様のかくれ家」の原点でした。

研究者魂が炸裂!「至高のシルク食パン」誕生の裏側

「ごろねのくに」のパンは、カフェのお客さんだけでなく近隣住民の間でも評判に。カフェの設備では焼ける量が限られるため、近くに別途パン工房を構えることになりました。

工房で取りかかったのは、キタノカオリ100%の食パン開発。ここからぜにこさんの研究者魂に火が付きます。

「キタノカオリそのものの味を生かすためにはどうしたらいいのか、突き詰めて考える日々でした。ミルクを入れると小麦の甘さが負けてしまうので、もっと小麦本来の味を出すにはと考えていたら『すべての素材を穀類由来のものにする』というアイデアが湧いてきて。ライスミルクと米油を使ってみたら、やっと理想に近い味わいのパンができました」

そこからさらに試行錯誤を重ね、ついに「至高のシルク食パン」が完成。

しかし発売からほどなく、今度はキタノカオリが入手困難になってしまいます。

「コロナが流行し始めたあたりからキタノカオリが急に手に入らなくなり、本当に困りました。いろんな品種を取り寄せてかなり試作を重ねたんですが、キタノカオリに替わるものはありませんでした。新しい仕入れ先を見つけるために必死に調べて、ヤマチュウさんのサイトを見つけたんです」

コロナの影響でカフェの存続が厳しくなったため、パン工房を「ごろねのくにの王様・ぜにこ」がパンを焼くベーカリー「王様のかくれ家」としてオープン。

キタノカオリを安定的に仕入れられるようになったことで、「至高のシルク食パン」は人気商品「王様のちぎり食パン」と並ぶ看板商品になりました。

公のために働き、一人ひとりとも向き合う。パン屋は「まちの保健室」

現在も共同研究者と約5,000本の論文を読み込み、肉腫(悪性軟部腫瘍:サルコーマ)の効果的な治療法を探っているというぜにこさん。「まるで苦行です」と笑いますが、ベーカリー経営と両立し、ソムリエとしても活躍するそのパワーは一体どこから湧いてくるのでしょうか?

「私は公衆衛生を専攻していたこともあって、『誰かのために働く』ことが人生のベースなんです。苦行とも感じるような研究をなぜ続けられるかというと、その結果によって多くの人が救われる可能性があるから。それが自分のモチベーションでもあるんですよね」

王様のかくれ家にも、「保健室」というコンセプトがあるのだとか。ぜにこさんのバックグラウンドを知るお得意さんたちが、パンを買いに来たついでに健康相談をしていくこともあるそうです。

「『ごろねのくに』にお母さんに連れられて来ていた赤ちゃんが、今では自分でお金を持って、一人でパンを買いに来ることもあります。『おつかいができるようになったんだね!』って、もう親戚のおばちゃんみたいな気持ちで見守っています(笑)」

お客さんが来るたび、親しい人に会ったかのように「こんにちは!」と声をかけるぜにこさん。

「子どもたちのために」と始まったパン作りは、やがて「パパママのために」「地域の人たちのために」と広がっていきました。コロナ禍という荒波を乗り越えた今、お店は亀戸の街になくてはならないあたたかい「かくれ家」として、しっかりと根を張っています。

🍞編集後記🍞

「王様のかくれ家」は、今はやりの「パン飲み」ができるお店。店内には、ソムリエ資格を持つぜにこさんが選んだワインや日本酒が所狭しと並びます。

かと思えば、子どものための絵本やおもちゃもあり、誰もが楽しく過ごせるような工夫にあふれていました。

店外にもフォトスポットや、営業時間外でもパンが受け取れるロッカー、宅配用の電動バイク、『地球の歩き方』を思わせる店内ガイドなど、ユニークなアイデアがたくさん。

暑さで客足が遠のく夏場は、気軽に一杯飲めるような屋台を設置する計画も立てているそうです。

「ビジネスは初めてなのでマーケティングを勉強して、『思いついたらとりあえずやってみる』の精神でいろんなことを試してます」と話すぜにこさん。これからの「王様のかくれ家」がどんな進化を遂げていくのか、とても楽しみになりました。

「至高のシルク食パン」のおいしさは言うまでもなく、銀座のフレンチで採用されていると言うバゲットの「トラディショナル」、十勝産素材の魅力が詰まった「あんバターサンド」、「寛永通宝」をかたどった「ぜにパン」も、編集メンバーの子どもたちが取り合うおいしさでした。またお邪魔します!

🍞ごろねのくにのパン工房 王様のかくれ家 店舗情報🍞

営業時間:10:00〜17:00
定休日:月曜日・火曜日
住所:東京都江東区亀戸3−1−1  辻ビル1階(天神橋交番裏)
アクセス:半蔵門線錦糸町駅・4番出口より徒歩約10分/JR錦糸町駅北口より徒歩約12分/亀戸駅北口より徒歩約14分
公式HP公式LINEFacebook

※大型パン(食パン・バゲット・カンパーニュ)は、来店前にできるだけ公式LINEで予約をてください。

小麦粉 キタノカオリの商品画像
北海道産小麦粉 キタノカオリ

⭐当店人気No.1⭐「キタノカオリ100%」の強力粉です。黄色がかった粉色で甘味と風味が強く、もちもちとした弾力のあるパンができます。ホームベーカリーにもおすすめです

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